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ライブはいいぞ

誰しも日常とは違った感覚を味わいたいと思う瞬間はあるはずだ。毎日同じ事の繰り返しでは潤いが足りないと感じてしまう。たまには刺激が必要だ。

非日常を味わう方法は人によってさまざまだ。

散歩をする人もいれば、旅行をする人もいるし、瞑想がその方法だという人もいる。

 

私の場合のそれはバンドのライブを観に行くということだ。

非日常を味わえるのはもちろんのこと、リフレッシュすることができる。あとは単純にテンションが上がる。今は旧友と共に数ヶ月に一度のペースで見に行っているが、行く度に毎回生きるためのエネルギーを補給させてもらっているような感じがする。もはやパワースポット的な存在だ。それはいつの間にか私の人生に必要不可欠なものになっていた。

 

ライブの良いところは全て感覚的な部分に集約されると思う。そこに理屈や理論的なものは不要だ。

好きなバンドを間近で見ることができる、生の歌声を聴くことができる、生の演奏を見ることができる、MCが面白い、等。

五感のどれでも好きなもので、好きなように楽しめばいい。それを肯定されている空間がとても居心地が良い。

 

ライブハウスのあの雰囲気が好きだ。あの独特な一体感。観に来ている他の人たちとは特段言葉を交わすこともないし、目を合わせることすら無い。

 

しかし、ライブ最中には、会場にいる人々の全てが、私の仲間であるかのような錯覚を起こす。あのライブ中の一体感。

おそらく、目の前のたった一組のバンドに意識を集中させるという、同じ認識を共有しているからそう感じるのだろう。

 

会場の雰囲気が、演奏される曲の曲調によってもガラッと変わるのは面白いし魅力的だ。

 

アップテンポの曲や激しめの曲の時は会場全体が高揚している。さながら、時代劇でよく見る戦国時代の勝ち鬨のようなイメージだ。手を高く上げる人や身体全体でリズムを刻む人、ヘドバンする人等、表現は人それぞれだ。

 

逆に、バラード調の曲の時は会場全体が、ただバンドの演奏に耳を傾けている。まるで世の中にそれ以外にはすることがなくなったかのように。同時に、会場の温度が下がったような感覚になる。そして演奏が終わった直後の、一瞬の静寂。大勢の人が一瞬消えてしまったかのような、不思議な錯覚に陥る。

 

自分の思うままに観ればいい。そこに面倒なものは要らない。そして曲を聴きながら想像する。この人たちはどんな気持ちでセットリストを組んだのだろう。どんな気持ちでこの曲を作ったのだろう、等。

 

いつもスマートフォンで好きなバンドの曲を聴いている。車の中にも曲が入っているので移動時によく聴いている。それが日常だ。

 

その日常から抜け出して、“本物”に触れに行く。同じ曲であってもやっぱり生とオーディオとでは全く違う。ただ曲を聴きに行くのではない。精神を休ませに行くのだ。エネルギーを浴びに行くのだ。ある意味病院やクリニック的な位置付けに近いのかもしれない。これからも定期的な通院が必要となりそうだ。